形態異常の意味するもの

 
 生命を維持し機能するために、人体は細部にいたるまで完璧なメカニズムで構成されてい る。
 
 それは、究極の芸術作品と呼べるほど見事に人体を形作っている。生命発生の段階から、成長し、老いて尽きるまで、人体は時とともに劇的な変化を見せる が、 生命体としての美しさは常に保たれる。またその美は、人間の個としての存在だけに留まらず、宇宙とのバランスを保つかのごとき変化を見せる。

 しかし近年、その究極の美から逸脱した形態が人体に現れつつあるように思われる。たぶ ん、今の画学生が裸婦デッサンをするならば、半分以上はデッサンが 狂うはずである。しかも、モデルが若ければ若いほど、忠実に描けば描くほど、ますますデッサンの狂いは増す。それほど形態的変化(形態異常)をもつ人は増 加しているのである。この形態異常を抱える人の増加は、医学的に見れば、癌、膠原病、パーキンソン氏病の増加、およびその予備軍の圧倒的増加として現れ、 人類を破滅に追い込もうとしているかのようである。

 本来、人間の形態は、内臓を除けばほぼ左右対称であり、元々存在する微妙な左右非対称 は、単に個性でしかない。しかしそれが、法則とも言えるほどの規則 的な左右非対称の形態的変化(形態異常)を見せ始めた場合、明らかにその体には異常があり、そこに特定の原因となるものの存在を認めざるを得ない。

 この特徴的な形態異常は、癌、膠原病、パーキンソン氏病、メニエル氏病の患者に、例外 なく顕著に見られるものであるが、現在のところ、これらの形態的特 徴から病気の特定はできない。恐らく、このような特徴自体が現代医学会で体系的に取り上げられたこともないだろう。左の起立筋が異常に強張るという奇妙と も言える症状ですら、左半身を使い過ぎましたねとマッサージで言われたりする。しかし、左の起立筋だけが盛り上がるような使い方とは、実際どのような運動 を指すものであろうか。仮にそのような運動があるとしても、形態的異常が長期間残るような運動をすることは不可能である。しかもこれらは、通常のマッサー ジで筋肉をほぐしても何の改善も見られず、むしろ時間の経過とともに強張りを増す。また、この強張りは徐々にではなく突然現れるのも特徴的である。

 その原因として本人が挙げるのは、睡眠不足だとか、体を芯まで冷やしたとか、生理中に 無理をした、などの体への一時的なストレスであるが、それらは単なる引き金でしかない。
体に一時的なストレスを受けた人が、ことごとく形態的異常を示すわけではないので、これが根本原因とは考えにくい。従って、原因は他に求める必要がある。
 
 そもそも人体の形態的な変化とは、生体内での化学的変化が細胞の変化となり、人体の構造上顕在化したものを言う。実際に形態的異常を伴う疾患患者を施術 した者であれば、その深刻さを感じざるを得ない。もしこの形態的異常が、癌やその他の形態的異常を伴う疾患の形成に密接に関与するのであれば、形態的異常 が解消されれば、疾患自体にも当然影響があるはずである。








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